暖かくなりお酒を飲む機会も増え、
体で気になるのは「肝臓」ですよね。
肝臓は体内で最も大きな臓器で
500種類以上の働きをしています
いわば巨大コンビナート!
肝臓は多少のダメージを受けてもすぐに元に戻る
再生力を持つため症状がでにくい臓器なのです。
しかし
日本では3人に1人、
肝機能検査で異常があるといわれ、
これは高血圧や肥満、高コレステロールよりも高い頻度なんです。
中でも増加しているのは「脂肪肝」
「脂肪肝は病気じゃないから・・・」と放っておくと、
気が付かないうちに死に至る病気に進行してしまう場合があります。
症状が出て、病院に行った頃には、
肝硬変や肝がんになってしまっていることも。
さらに
お酒を飲まない、しかも50代以降の女性に急増している
肝臓の病気があるんです。
それが「非アルコール性脂肪肝」
肝臓の働きは大きく分けて4つ
1.アルコールやアンモニアなど
身体中の有害物質を分解する解毒工場
2.糖質やタンパク質などから栄養素を作り出す合成工場
3.合成された栄養素を貯蔵する倉庫
4.消化に必要な胆汁を作り出す生産工場
本当に自覚症状がでにくいため
沈黙の臓器とも言われています。
そこで
自分で肝臓の異変に気がつくために
重要なのは、健康診断などの肝機能検査で分かる
「ALT値」
ALTとは幹細胞のなかで働く酵素。
肝臓の酷使度合いを把握するバロメーター
脂肪肝とは
糖質やタンパク質などの栄養素は
すぐにエネルギーとして使えるグリコーゲンに作り変えられます。
そしてそれをいざという時すぐ使えるように倉庫に蓄える。
ところが倉庫は小さいためすぐに満杯に。
倉庫からあふれたものはなんと脂肪に作り替えられるのです。
肝臓内の適当な場所に保管されてしまいます。
こうして過剰にエネルギーを蓄えた状態が脂肪肝
「お酒をそんなに飲まないし、大丈夫」
なんて考えているアナタ!ちょっと待って!
肝臓のスペシャリスト
横浜市立大学付属病院
米田正人先生
脂肪肝になる主な原因
・アルコールの摂り過ぎ
日本酒を1日5合以上飲むと1週間で脂肪肝になる
ビールだと1日1200ml以上で常習飲酒家となり危険
ワインだと1日半ボトル以上で常習飲酒家となり危険
・過食
2週間夜食が続くと脂肪肝になる
・運動不足
適切な食事、運動を行えば
(メタボリックシンドロームを改善すれば)
2~3倍に膨らんだ肝臓でも3ヶ月で元に戻る
無理なダイエットをしたり、
栄養バランスが偏ると脂肪肝になりやすくなるので要注意
10年ほど前までは、
お酒を飲まない人の脂肪肝は問題なしとされていましたが、
近年ではそうでないタイプの脂肪肝でも非アルコール性脂肪肝(NASH)
になることがわかっています。
非アルコール性脂肪肝(NASH)は
推定200万人の患者がいるそうです。
NASHになっていることに気が付かず
そのまま過食を続けていると、
肝臓が2~3倍の大きさに。
その大きくなった脂肪に核が押し出され細胞間が壊れます。
これで肝炎になります。
肝炎が進むとどんどん細胞が壊されてしまいますが、
持ち前の再生力で「壊す→治す」を繰り返します。
これでさらにダメージが蓄積。
すると細胞がだんだん硬くなり本来の働きができなくなります。
これが非アルコール性脂肪肝(NASH)
さらに重症化すると肝臓がガチガチに硬くなる肝硬変に。
ここまでいくともう肝臓は元には戻りません。
50代以降の女性は4肝臓を守る働きのある「エストロゲン」
という女性ホルモンが減少することで起こりやす行くなるのです。
女性ホルモンが作用していると
余分な脂肪は皮下脂肪になります。
しかし閉経を迎えると、その女性ホルモンは低下し、
なんと男性よりも低くなってしまうのです。
非アルコール性脂肪肝(NASH)の確立した治療法はまだありません。
しかし、こうならないための予防策があります。
甘いものの摂り過ぎには要注意!
糖質は中性脂肪に合成され、肝臓に蓄積される。
食べる時間にも注意してください。
エネルギーはすぐに使わないと脂肪にかわります。
同量食べる場合でも寝る前とそうでないときは違います。
遅い時間にたべてしまったら眠る時間をずらすだけでも効果はあります。
自覚症状がほぼ無い病気なので、
こまめに検診を受けることをオススメします。
「歯周病対策」が脂肪肝にならない秘訣!?
非アルコール性脂肪肝(NASH)の患者さんに共通することが・・・
脂肪肝患者さんは健康な人よりも歯周病菌の所有率が2倍
脂肪肝患者さんに歯周病菌の治療を施したところ、
3ヶ月で大幅にALT値がダウンしたのです。
まだ研究段階だそうですが
脂肪肝の人は肝炎に進行させないために、
口の中をキレイに保つことが必要です。
ダイエットに加えて歯周病予防が健康への近道です!